成長期アスリートの身長が止まる理由は?
- トレーナー山下

- 12 分前
- 読了時間: 11分

「毎日ハードな練習で疲れが抜けない」
「背が伸びる時期なのに、なかなか体が大きくならない」
ジュニアアスリートを支える保護者や指導者の皆様はそのように悩んだことがあるかと思います。
その原因、練習のしすぎではなく「圧倒的なエネルギー不足」にあるかもしれません。
今回は、2025年に発表された最新の研究データをもとに、成長期(中高生)のアスリートが陥りやすい「栄養の落とし穴」と、大人が知っておくべきサポートの重要性について解説します!
Everett, S. (2025). Optimizing Performance Nutrition for Adolescent Athletes: A Review of Dietary Needs, Risks, and Practical Strategies. Nutrients, 17, 2792. https://doi.org/10.3390/nu17172792
1. 消費されすぎるエネルギー
成長期(特に女子は11.6〜12.1歳、男子は13.8〜14.1歳頃)は、体が急激に大きくなる「成長スパート」の時期です。この時期のアスリートは、日々の「スポーツで消費するエネルギー」に加えて、骨や筋肉を新しく作るための「成長のためのエネルギー」という、2つのカロリーを必要としています。
しかし
多くの子どもたちがこの莫大な必要量を満たせていません。
バレーボールの青少年選手を対象とした調査では、1日に必要なエネルギー量のわずか「60%」しか摂取できていなかったことが分かりました。
また、男子中高生サッカー選手を対象とした研究では、1日に必要なカロリーに対して、「1,639kcal」もの深刻なエネルギー不足が生じていたと報告されています。
必要なカロリー(体重1kgの除脂肪量あたり30kcal未満)を下回る状態が続くと、身体は「省エネモード(LEA:利用可能エネルギー不足)」に入ります。その結果、成長が止まるだけでなく、疲労骨折などのケガのリスクが上昇、女子選手では月経異常、男子選手でも男性ホルモン低下による筋肉の回復遅延を引き起こしてしまいます。
練習中の補食(長時間の運動時)
60分以上続く激しい練習や試合では、エネルギー切れを防ぐために1時間あたり30〜60gの炭水化物を補給することが持久力維持に不可欠です。
おすすめメニュー:糖分濃度が約6%のスポーツドリンク エネルギー源となるだけでなく、汗で失われる水分やナトリウム(電解質)を同時に補給し、熱中症や足のつりを防ぐことができます。ポカリスエットやアクエリアスのようなスポーツドリンクが良いかと思います。
論文を参考に、成長期のアスリートのパフォーマンスを最大化し、成長をサポートするための「お弁当の組み合わせ」のポイントをご紹介します!
お弁当は、午後の激しい練習に向けたエネルギーを蓄え、午前中の疲労を回復させる重要な役割を持ちます。以下の3つのルールを意識して組み合わせてみてください。
お弁当作りの3つの基本ルール
1. 筋肉を育てる「高品質なタンパク質」を20〜40g入れる
論文では、筋肉の修復と成長を最大化するために、1回の食事で20〜40gの高品質なタンパク質を摂取することが推奨されています。
おすすめの食材: 体内で作ることができない必須アミノ酸をすべて含む「完全タンパク質」である、卵、赤身肉、鶏肉、魚、大豆製品(豆腐など)を主菜にしましょう。
鶏むね肉100gには約2.5g、卵2個には約1.2gの「ロイシン」という筋肉づくりに重要なアミノ酸が含まれています。
2. 午後のスタミナ源「炭水化物」をしっかり確保
炭水化物は高強度の運動に欠かせない主要なエネルギー源です。成長期のアスリートは体にエネルギーを貯めておくタンクが大人よりも小さいため、お弁当でしっかり補充しないと午後の練習ですぐに疲労してしまいます。
おすすめの食材: 白米だけでなく、玄米やパスタなどの「全粒穀物」や、じゃがいも、さつまいもなどの「でんぷん質の野菜」、豆類を取り入れるのが理想的です。
3. 「鉄分」+「ビタミンC」のおかずで貧血予防
10代アスリートは鉄分不足に陥りやすいです。鉄分は「ビタミンC」と一緒に摂ることで吸収率が劇的に向上します。
おすすめの組み合わせ: 赤身肉、卵、ほうれん草などの鉄分が豊富な食材のおかずに、ビタミンCが豊富な野菜(ブロッコリーやピーマンなど)やフルーツを組み合わせましょう。
【実践編】部活生におすすめのお弁当組み合わせ例
上記の栄養基準をもとに、アレンジしたお弁当の具体的な組み合わせ例です。
【パターンA:スタミナ&リカバリー弁当】
主食: ご飯(できれば玄米やもち麦を少し混ぜて炭水化物を強化)
主菜: 鶏むね肉の照り焼き、または鮭の塩焼き(高品質なタンパク質。鮭からは抗炎症作用のあるオメガ3脂肪酸も摂れます)
副菜1: ほうれん草と卵の炒め物(鉄分+完全タンパク質)
副菜2: ブロッコリーとトマトのマリネ(ビタミンCで鉄分の吸収をサポート)
デザート/飲み物: 100%オレンジジュース(鉄分吸収アップ)
【パターンB:手軽に食べられる補食兼用のお弁当】
試合の日や、食べる時間があまりない日におすすめのスタイルです。
主食: 具だくさんおにぎり(鮭や枝豆などを混ぜてタンパク質をプラス)、または全粒粉パンのピーナッツバターサンド
主菜: ゆで卵や卵焼き(完全タンパク質)
副菜: かぼちゃやじゃがいもの煮物(エネルギー源となるでんぷん質の野菜)
デザート: フルーツを入れたギリシャヨーグルト(成長に必要なカルシウム+タンパク質)夏場はしっかり保冷していただければと思います!
弁当作りの注意点
揚げ物は控えめに: 脂質の摂りすぎ(特にトランス脂肪酸や飽和脂肪酸)は、1日の総カロリーの20〜35%(飽和脂肪酸は10%未満)に抑えるよう推奨されています。揚げ物(唐揚げやトンカツなど)の多用は控え、焼く・茹でる・蒸すといった調理法を基本にしましょう。
1日全体で考える: お弁当だけで1日に必要な莫大なカロリーをすべて補うのは難しいため、日トータルでエネルギー不足(LEA)を防ぐよう心がけてください!
アスリートに必要なエネルギーは1食で摂取することは不可能です!
2. 女子選手の半数が陥る「隠れ貧血」
エネルギー不足と並んで深刻なのが「鉄分」の不足です。鉄は全身に酸素を運ぶ重要な役割を担っており、不足すると持久力や集中力が大幅に低下してしまいます。
成長期は血液量が一気に増えるため鉄分が欠かせませんが、汗や月経による損失も重なり、10代の女子アスリートの「最大52%」が鉄欠乏状態にあるというデータが示されています。
【指導者・保護者へのアドバイス】
「最近バテやすくなった」「タイムが落ちた」という場合、練習不足ではなく鉄不足を疑ってみてください。もし鉄剤などのサプリメントを飲む場合は、「飲むタイミング」に注意が必要です。ある研究では、鉄分をコーヒーや朝食と一緒に摂取すると、吸収率が54〜66%も低下してしまうことが分かっています。鉄分は、オレンジジュースなどのビタミンCと一緒に摂取すると吸収が良くなります。
あくまでも1つの要因として考慮してみてください!
1. 気をつけるべき自覚症状・体調の変化
論文では以下のような症状が見られる場合、鉄分不足を疑って検査を行うべきだとしています。
疲労感: しっかり休んだり睡眠をとったりしても疲れが抜けない、常にだるそうにしている。
持久力の低下: 以前より早く疲れてしまう、練習の後半で急激にパフォーマンスが落ちる、タイムが伸び悩む・落ちる。
頻繁な体調不良: よく風邪をひくようになるなど、免疫力が落ちている。
2. 血液検査で見分ける「隠れ貧血」のサイン(フェリチン値)
一般的な健康診断では「ヘモグロビン」の数値だけを見て貧血かどうかを判断されがちですが、アスリートの場合は、体内の「鉄の貯金」を示す「血清フェリチン値」を確認することが最も確実な見分け方とされています。
論文では、年齢に合わせて以下の基準値を下回っている場合、鉄分が不足または枯渇していると判断するよう推奨しています。
15歳以上のアスリート: フェリチン値 30 µg/L未満で注意。 (15〜30 µg/Lで「鉄の予備が少ない状態」、15 µg/L未満で「完全に枯渇した状態」とされます)
12〜15歳のアスリート: フェリチン値 20 µg/L未満で枯渇状態。
6〜12歳の子ども: フェリチン値 15 µg/L未満で枯渇状態。
3. 吸収を良くする組み合わせ:ビタミンC
鉄分は、ビタミンCと一緒に摂取することで吸収率が向上します。
おすすめの組み合わせ例: 鉄分(鉄剤など)をとる際に、オレンジジュースなどを一緒に飲むことが推奨されています。
4. 吸収を悪くしてしまう「NGな組み合わせ」
良かれと思って一緒に摂っているものが、鉄の吸収を大きく妨げてしまうことがあります。
コーヒーとの同時摂取: 鉄分をコーヒーと一緒に摂取すると、たとえビタミンCを一緒に摂っていたとしても、鉄の吸収率が54〜66%も低下してしまいます。
食事(朝食など)との同時摂取: 食事中に鉄剤を摂取した場合も、同様に吸収率が54〜66%低下することが分かっています。
5. 最も吸収が良くなる「タイミング」
食事の組み合わせだけでなく、摂取する時間帯も重要です。
朝食から離して摂る: 鉄の吸収を妨げる「ヘプシジン」というホルモンの値が低い「朝」に、「食事から時間を空けて(空腹時に)」摂取するのが理想的です。午後はヘプシジンの値が高くなるため、吸収率が下がってしまいます。
激しい運動の直後は避ける: 運動によって体に炎症が起きると、一時的にヘプシジンが上昇し、鉄の吸収が妨げられてしまいます。そのため、運動直後の摂取も避けた方がよいかと思います!
3. 情報源の65%が「SNS」
現代の子どもたちは、どこから食事やサプリメントの知識を得ているのか?
ある調査によると、青少年アスリートの「65%」が栄養情報をSNSから得ていると回答しました。
一方で、専門家である「管理栄養士(スポーツ栄養士)」からアドバイスを受けたことがあると答えたのは、「16%」に留まっています。さらに、SNSで情報を得ている子どもたちの84%が「この情報が本当に正しいのか不安だ」と感じていることも明らかになりました。
SNS上には、「このサプリ(エナジードリンク)を飲めば筋肉がつく、足が速くなる」といった、誇張された情報が溢れています。実際、エナジードリンクには多量のカフェインが含まれており、中高生の睡眠障害や血圧上昇、依存のリスクを高めるため、スポーツ現場での安易な摂取は推奨されていません。
成長期の子どもにエナジードリンクが推奨されない主な理由は、高用量のカフェインやその他の成分による健康への悪影響が懸念されるためです。
論文では、12歳未満の子どもにはエナジードリンクの摂取は推奨されておらず、12〜18歳の青少年においても十分な注意が必要であると警告しています。
具体的な理由は以下の通りです。
1. 過剰なカフェインによる心身への悪影響
エナジードリンクには多くの場合、1本あたり約200mgという高用量のカフェインが含まれています。これを成長期の子どもが摂取すると、以下のようなリスクが高まります。
睡眠障害: 睡眠の質や時間が低下し、成長や疲労回復の妨げになります。
心血管系の異常: 血圧の上昇や頻脈(脈が速くなること)を引き起こす恐れがあります。
メンタルヘルスと依存性: 既存のメンタルヘルス不調を悪化させたり、多動を引き起こしたりするリスクがある、カフェインに対する生理学的な依存や中毒に陥る危険性が指摘されています。
2. カフェインの「1日の摂取上限」を簡単に超えてしまう
米国医師会(AMA)などの保健機関は、青少年のカフェイン摂取量の上限を「1日100mgまで」と推奨しています。 しかし、エナジードリンク1本(約200mg)を飲むだけでこの上限を大きく超えてしまいます。
さらに、日常的に摂取するお茶、コーヒー、チョコレートなどにもカフェインが含まれているため、知らず知らずのうちに危険な量のカフェインを蓄積してしまうリスクがあります!
3. 未検証の成分による「相乗効果」の危険性
エナジードリンクには、カフェインの他にもタウリン、ガラナ、L-カルニチンなど様々な成分が含まれています。これらの成分単独での影響や、カフェインと組み合わせた際の影響については、特に若い世代を対象とした安全性データが十分にありません。成分の相乗効果によって、先述した高血圧や頻脈、睡眠障害などのリスクがさらに高まる可能性が懸念されています。
現状、プロ選手が飲んでいるからといって中学生がエナジードリンクを飲むことは控えたほうがよいかと思います!
まとめ:「フード・ファースト」
成長期のアスリートにとって最も重要なのは、サプリメントやドリンクに頼る前に、まずは「日々の食事(フード・ファースト)でしっかりと栄養を摂取すること」です。
子どもたちは、自分自身で適切なカロリーを計算したり、SNSの情報の真偽を見抜いたりすることは困難です。だからこそ、保護者や指導者が正しい知識を持ち、「食べることもトレーニングの一部」と、前向きな声かけをしてあげることが大切です!
当店のダイエットプログラムについて
札幌市厚別区新札幌
医療系国家資格保有トレーナーが在籍するパーソナルジム R,physio lab
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科学的な知見や経験から運動と食事についてアドバイスさせていただき、皆さんと一緒にダイエット成功へ向けて歩んでいきます!!




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