サプリメントの誤解
- 康太 正木
- 10月8日
- 読了時間: 4分
更新日:11月12日

ダイエット中やスポーツで脂肪を落としたり、代謝を上げる、パフォーマンスを向上させて結果を出したいとき、サプリメントに頼りたくなることがあります。
ですが、巷にあふれる情報の中には、誤解や間違った認識も少なくありません。
Bailey, R. L., Gahche, J. J., Lentino, C. V., & Dwyer, J. T. (2025). Common questions and misconceptions about dietary supplements. Critical Reviews in Food Science and Nutrition, 65(1), 1–15. https://doi.org/10.1080/15502783.2025.2534128
今回はこちらの研究をもとに、サプリメントの正しい使い方を解説します。
サプリメントは薬ではない
まず理解すべきは、「サプリメントは医薬品ではない」という点です。
アメリカでは、サプリメントはFDA(食品医薬品局)の厳しい事前承認を必要とせず、「食品」として扱われています。
つまり、販売前に効果や安全性を証明する義務は限定的でこれは日本でも同じことが言えます。
多くの人は「売っている=効果がある」「安全が確認されている」と思いがちですが、
実際は製品によって品質も有効性もばらつきが大きいのが現実です(Bailey et al., 2025)。
特にトレーニング系サプリは、筋肥大・減量・回復などを強調した宣伝が多い一方、
成分の純度や混入物チェックが不十分なケースも報告されています。
競技者の場合、禁止物質が意図せず含まれる汚染サプリも問題となっています。
科学的根拠=RCTだけではない
論文では、「サプリメントの有効性はランダム化比較試験(RCT)でしか証明できない」という誤解にも触れています。
確かにRCTは科学的根拠の最上位ですが、サプリメント分野では、倫理面・費用・被験者の多様性から実施が難しいのが現状です。
そのため、観察研究・生理学的研究・メタ分析などを総合的に評価する姿勢が重要とされています。
例えば「ビタミンDが不足すると筋力低下を招く」という知見はRCT単体ではなく、複数の疫学研究から導かれています。
科学的根拠は単一の実験結果ではなく、複数の研究の一貫性を見て判断することが求められます。
食事で足りる?それとも補うべき?
「栄養は食事から取るべき」とよく言われます。
これは基本的には正しい考え方ですが、Baileyらは理想論だけでは現実的でないと述べています。
現代人は忙しく、加工食品中心の食事になりやすい。
トレーニング強度が高い人や減量期のダイエッターは、エネルギー制限によりミネラルやビタミンが不足しやすい傾向があり、
特に鉄、カルシウム、ビタミンD、オメガ3脂肪酸は、食事だけで必要量を満たすのが難しい場合もあります。
つまり、サプリメントは「食事の代わり」ではなく、食事を補うための道具として活用するのが理想的です。
情報源の見極めが命
論文では、サプリ情報の信頼性を高めるには「誰が言っているか」が最も重要だと強調されています。
SNSや広告は誇張や誤情報が多く、
正しい知識を得るには公式機関・査読論文・第三者認証のある製品情報を参考にすべきです。
例えば、米国ではUSP認証、NSF Certified for Sport、日本ではJHFAマークなどの第三者検査制度があります。
これらは成分の純度や安全性を確認済みであることを示す指標です。
サプリメントの現実
アスリートやダイエッターにとって、サプリメントは努力の後押しにはなりますが、
努力の代替にはなりません。
今回の研究でも、
「サプリメントは万能ではない、科学的・法的な制約を理解した上で活用すべき」というものでした。
まとめ
サプリメントは、正しく使えばパフォーマンスやコンディションを支える強力なツールです。
しかし、「飲めば痩せる」「飲めば筋肉がつく」といった短絡的な期待は科学的に誤りです。
科学的根拠と安全性の理解こそが、長期的な成果を左右します。
サプリを戦略的なサポートとして扱えると、最終的に筋量の向上や脂肪カットによるパフォーマンスの向上やボディメイクなどの結果を出せます!
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