細胞から身体を作る∼抗酸化物質の最新研究(2026年)
- 康太 正木
- 4 日前
- 読了時間: 6分
更新日:3 日前

理想の体を目指すダイエッターや、試合に挑むアスリートにとって、「何を食べるか」はトレーニングと同じくらい重要です。
多くの方がカロリーやタンパク質の量に注目しますが、
「抗酸化物質(Antioxidants)」こそが、代謝の効率とリカバリーの質を左右する鍵を握っています。
Dini, I. (2026). Potential Health Benefits of Dietary Antioxidants. Antioxidants, 15(1), 92. https://doi.org/10.3390/antiox15010092
今回はこちらの研究をもとに抗酸化物質が私たちの細胞内でどのように働き、
ダイエットとパフォーマンス向上に寄与するのか、
そのメカニズムを分かりやすく解説していこうと思います!
1. なぜ我々に「抗酸化」が必要なのか?
私たちの体は、エネルギーを産生する過程で「活性酸素(ROS)」を生成します。
特に、以下の状況では活性酸素が過剰に発生し、「酸化ストレス」状態に陥りやすくなります。
激しい運動: 筋肉が大量の酸素を消費する際、副産物として活性酸素が急増します。
食事制限: カロリー制限下のストレスや、代謝の急激な変化も酸化ストレスを助長します。
酸化ストレスが放置されると、細胞のエネルギー工場である「ミトコンドリア」がダメージを受け、代謝が低下します。
つまり、
「一生懸命運動して食事を制限しているのに、細胞がサビついて脂肪が燃えにくい体になる」
という本末転倒な事態が起こるのです。
2. 「抗酸化物質」の真の役割
こちらの研究では、抗酸化物質の役割が単に「活性酸素を消す」ことだけではないことを強調しています。
分子スイッチ「PI3K/Akt経路」の調整
クルクミンや、マンゴスチンに含まれるα-マンゴスチンなどの成分は、
細胞内の「PI3K/Aktシグナル伝達経路」に働きかけます。
この経路は、細胞の生存、増殖、そして「代謝の調節」を司る司令塔です。
アスリートにとっては「筋タンパク質の合成や修復」を助け、
ダイエッターにとっては「効率的なエネルギー利用(代謝バランス)」を維持するための重要なスイッチとなります。
脂質代謝への直接的なアプローチ
研究では、タマネギ(Allium cepa)などの抽出物が、肝細胞における脂質の蓄積を抑制し、酸化した脂質による毒性を軽減することが示されています。
これは「肝機能を健全に保つことで、脂質代謝の効率を最大化する」という、
内臓レベルからのダイエットアプローチです。
3.リカバリーと「抗酸化のタイミング」
運動後の炎症抑制はアスリート、ダイエッターにとって最優先事項です。
炎症と組織損傷の軽減
マキベリーやムルタベリーに豊富に含まれるフラボノイドは、腸内や全身の炎症を抑える強力な作用を持っています。
これにより、トレーニング後の筋肉痛の軽減や、組織損傷からの早期回復が期待できます。
注意点:サプリメントへの過度な依存
ただし、論文では「個別の抗酸化物質を大量にサプリメントで摂取する」ことの不確実性も指摘されています。
運動直後の適度な酸化ストレスは、筋肉が強くなるための「適応シグナル」でもあるからです。
そのため、高用量のサプリメントよりも、「食事由来(Dietary Antioxidants)」の多様な成分を摂取することが、自然な適応を妨げずに回復を促す最善策であると示唆されています。
4. 「遺伝子」が抗酸化物質の効果を決める?
今回の論文で非常に興味深いのが、「精密栄養学(Precision Nutrition)」への言及です。
個人の持つ遺伝子のバリエーション(XRCC1やGSTP1などの遺伝子多型)によって、抗酸化物質によるDNA損傷の修復能力や血管機能の改善効果に差が出ることが分かっています。
Aさん: ベリー類の摂取で劇的に血管が若返り、代謝が上がる。
Bさん: 同じ量を食べても、Aさんほどの変化は見られない。
このように、体質によって「効きやすい成分」が異なります。
だからこそ、特定のスーパーフードだけに頼るのではなく、
多様な色の食材(レインボーダイエット)を実践すること。
または、
自分にはどれがあっているのか一定期間試し続けて感触の良いものを取り入れていくなど、
自分の遺伝子にヒットする確率を高める最も科学的な戦略なのです。
5. 実践すべき食生活の指針
論文の知見を実生活に落とし込むための方法3つを紹介します。
① 「タマネギとベリー」をルーティンに
肝臓のケアと脂質代謝のためにタマネギ(ケルセチン源)を、運動後の炎症抑制と細胞修復のためにミックスベリー(アントシアニン源)を積極的に取り入れましょう。
② 未利用資源の活用(地中海食の知恵)
地中海食の研究では、植物の皮や種に近い部分に多くの抗酸化成分が含まれていることが再確認されています。
可能な限り「ホールフード(丸ごと食べる)」を意識することで、相乗効果が期待できます。
③ 腸内環境(マイクロバイオーム)を整える
抗酸化物質が体内で活性化されるかどうかは、あなたの腸内細菌にかかっています。
食物繊維を豊富に含む野菜と共に抗酸化物質を摂ることで、
成分の「バイオアベイラビリティ(生物学的利用能)」を高めることができます。
6.実際にどう取り入れるのか
今回の研究によると重要なのは「抗酸化作用を持つ複数の栄養素を同時にとること」です。
主に必要とされるのは、ポリフェノール・カロテノイド・ビタミンC/E・含硫化合物で、
それぞれ
ベリー類や緑茶
トマトやほうれん草、玉ねぎ
柑橘類やナッツ
ブロッコリーやにんにく
に多く含まれます。
これらを日常的に組み合わせることで、酸化ストレスや炎症の抑制に寄与すると報告されています。
まとめ:細胞から「勝てる体」を作る
ダイエットもスポーツも、根底にあるのは「細胞の健全な代謝」です。
最新の研究が示す通り、食事由来の抗酸化物質は、私たちの体を酸化ストレスから守り、
代謝の司令塔を正しく機能させるための最強のパートナーとなります。
今日から、お皿の上に「彩り」を増やしてみてください
そうすることであなたの細胞をサビから守り、理想のパフォーマンスと体組成へと導いてくれるはずです!
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