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【時間栄養学】夜遅い時間に何を食べる?



「朝食を抜くと太る」「夜遅く食べると脂肪になる」

これらは万人に当てはまるのでしょうか?



「時間と食事」に関して決定的なデータが発表されました。



例えば、仕事でどうしても帰りが遅くなった日の夜。ハードなトレーニングを終えて時計を見たらもう22時を回っていたとき、お腹は空いているのに「今食べたらよいのだろう」と悩むことが多いかと思います。食べずに寝たり、満腹になるまで食べたりと様々経験したことかと思います。


今回は最新エビデンスを徹底解剖し、アスリートのコンディショニングとダイエットの体脂肪コントロールに今すぐ導入できる「時間栄養学(クロノニュートリション)」の実践アプローチを解説します!


Murakami, K., Shinozaki, N., Livingstone, M. B. E., Masayasu, S., & Sasaki, S. (2026). Identification of chrono-nutrition behaviour patterns and their associations with sociodemographic characteristics, diet quality and obesity. British Journal of Nutrition, First View, 1–16. doi:10.1017/S0007114526107090


今回は、こちらの研究論文を参考にしていきます!



1. 研究の背景と目的:なぜ「単発の食事タイミング」の議論は破綻するのか?



従来のスポーツ栄養学やダイエット指導では、「朝食の有無」や「21時以降の食事の有無」といった、個別の食事タイミングのみにスポットが当てられておりました。


しかし、私たちの生活は、仕事日と休日で活動スケジュールが大きく異なります。


食事タイミング、回数、エネルギーの配分(ボリューム)はすべて相互に影響し合っており、

1日あるいは1週間という「点ではなく線のパターン」として捉えなければ、本当の影響は見えてきません。


今回の研究は、バラバラになりがちな「複数の時間栄養学的行動」を統計手法によってパターンとして同定し、それが食事の質や肥満とどう関連しているかを検証することを目的として行われました。




2. 1,047人の11日間におよぶ「食事日記」の記録



本研究の特筆すべき点は、データの圧倒的な精度と日本人に特化している点です。

研究の基本構成と具体的な対象データは以下の通りです。


対象者

20歳から69歳までの日本人男女 合計 1,047名


データ収集

連続する「11日間」の詳細な食事日記(すべての食事・間食の正確な時間と内容を記録)


分析

「仕事日(Workdays)」と「非仕事日(Non-workdays)」を完全に分離して評価


評価指標

① 食事の質:Healthy Eating Index-2020(HEI-2020)スコア

② 全身性肥満:BMI 25 kg/m²以上

③ 腹部肥満:腹囲(男性 90 cm以上 / 女性 80 cm以上)



「日本人の4大・時間栄養パターン」


1,047人の膨大なデータから、日本人の時間栄養行動は以下の4つのパターンに収束することが分かりました。


パターン1:仕事日の「早起き・しっかり朝食」型('early, large breakfast on workdays')

仕事日の朝早い時間に朝食を摂り、1日の総エネルギーに対する朝食の摂取比率が極めて高い。


パターン2:休日の「朝食抜き」型('skipping breakfast on non-workdays')

平日は規則正しく食べる反面、休日は朝食を抜く、あるいは食べる時間が大幅に後ろにずれ込む。


パターン3:「間食多め・夕食控えめ」型('frequent snacking with small dinner')

1日の食事と間食を合わせた「摂食回数」が多く、その分、1日の締めくくりである夕食のボリュームが少ない。


パターン4:「早めの夕食・しっかり昼食」型('early last eating with large lunch')

1日の最後の食事(夕食)を終える時間が非常に早く、昼食に最大のエネルギーボリュームを持ってくる。




3. パターンによる違い



この研究では、まず「どのような人がどのパターンに陥りやすいか」という属性(デモグラフィック)との強い関連がデータとして浮き彫りになりました。


性別による偏り

男性は圧倒的にパターン2(休日の朝食抜き)に該当しやすく

逆に女性はパターン3(間食多め・夕食控えめ)およびパターン4(早めの夕食・しっかり昼食)を選択する傾向が顕著でした。


年齢による推移: 年齢が上がるにつれて、パターン2(休日の朝食抜き)とパターン4(早めの夕食・しっかり昼食)のスコアが高くなる傾向が見られました。


就労形態の影響: フルタイムで働く労働者は、仕事日に早く起き、休日に朝食を抜くといった「朝食の変動(パターン1・2)」に強く縛られている実態が数値化されました。


【重要】結論


諸悪の根源とされがちな「休日の朝食抜き」や「高頻度の間食」


しかし、年齢や性別、喫煙、運動習慣などのプロファイルをすべて統計的に補正・調整した結果、驚くべき結論が出ました。


「4つのどの食事パターンであっても、食事の質(HEI-2020スコア)や、全身性肥満(BMI)、腹部肥満との間に有意な因果関係・関連性は認められなかった」


つまり、「休日に朝寝坊して朝食を抜くこと」や「日中にこまめに間食を挟むこと」そのものが、ダイレクトに食事の質を低下させたり、お腹に脂肪を溜め込んだりする直接の原因にはなっていなかったのです。




4. この研究から取り入れるべき実践的アプローチ



「肥満と関連がなかったなら、何時に何を工夫しても同じなのか」というわけではありません!

この研究の真の価値は、「自分のライフスタイルに合わせた時間栄養が、罪悪感なく行えるエビデンスを得たこと」にあります。


① 【ダイエット向け】無理な朝食固定を廃止し、「トータルエネルギー」と「パターン4」を狙う



「痩せるために毎朝7時に義務感でプロテインとオートミールを食べる」必要はありません。

平日にフルタイムで働き、休日にどうしても朝寝坊してしまう人は、パターン2(休日の朝食抜き)を無理に直そうとせず、その日のトータルエネルギー(摂取カロリー)をコントロールすれば太らないことがデータで示されています。


さらに減量を加速させたい場合は、女性に多く見られたパターン4(早めの夕食・しっかり昼食)を意図的に作り出しましょう。昼食を1日の最大ボリューム(例: 50%)にし、夕食を18〜19時までに薄めで終わらせることで、翌朝の代謝スイッチが入りやすくなります。



② 【アスリート向け】「パターン3(こまめな間食)」を利用した、インスリンと血中アミノ酸濃度の安定化


ハードなトレーニングを行うアスリートや筋肥大を狙うトレーニーにとって、食事の回数を3回に固定し、夕食を大量食いすることは消化器官への負担やカタボリック(筋肉の分解)の誘発に繋がります。


本研究のパターン3(間食多め・夕食控えめ)は肥満を助長しないことが分かったため、これを「ミールプレップ(補食戦略)」に移行します。

3時間おきにプロテインやデーツ、低GIの炭水化物を合計5〜6回に分けて摂取し、その代わりトレーニング後の夜の食事は脂質を抑えて控えめに設定します!


練習が夜遅い場合は練習前に消化の良い炭水化物(おにぎりやバナナ、うどんなど)取り入れて、練習終了後に大根やしょうが入りの味噌汁と魚やプロテイン+先ほどの炭水化物やそばなどがおすすめです!


これにより、胃腸に負担をかけず、筋合成を1日中最大化できます。


「時間栄養エラー」対策シート


研究データに示された「陥りやすい傾向」から、先回りしてコンディショニングの失敗を防ぐための具体策です。


社会人や学生のアスリート

「休日の朝食抜き(パターン2)」になりがちです。これにより1日の総タンパク質摂取量が目減りするリスクがあるため、目が覚めた瞬間(昼前であっても)にファーストミールとして「ホエイプロテイン30g+バナナ1本」を摂取し、筋肉の分解(カタボリック)を確実に阻止しましょう。


女性ダイエット

「間食の多さ(パターン3)」がライフスタイルに馴染みやすい性質を持っています。間食を我慢してストレスを溜めるより、間食をあらかじめ「良質な脂質(ナッツ類15g)」や「食物繊維・ビタミン源(ベリー類)」と決めて小分けに摂り、その分夕食の炭水化物を20%カットするスキームが最適です。




5. まとめ:スケジュールを味方につける「新時代の栄養学」



今回の東京大学による最新の知見は、食事スタイルに大きな自由度を与えてくれました。


重要なのは、「朝食抜きは悪」「夜型は太る」といった固定観念で自分を縛り、ストレスによるコルチゾール(筋肉を分解し脂肪を溜めるホルモン)を分泌させないことです。


自身の就労形態、性別、年齢からくる「自然な食の行動パターン」を理解した上で、アスリートなら筋肉を裏切らないアミノ酸の補給タイミング(パターン3の応用)を、ダイエットならライフスタイルに無理のないエネルギーカット(パターン2、4の応用)を、数字とロジックをベースに組み立てていきましょう。



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