【疲労激減】パフォーマンスが上がらない理由は「血中ホモシステイン」
- トレーナー山下

- 1 時間前
- 読了時間: 9分

「毎日ハードにトレーニングしているのに、ここ一番で粘りきれない」
「減量を頑張っているけれど、最近どうしてもモチベーションが上がらず、ジムに行っていない」
アスリートやダイエット中の方は、このような悩みを抱えているかと思います。
多くの人は、こうしたパフォーマンスの低下や意欲の減退を
「練習のしすぎ(オーバートレーニング)」や「根性不足」「睡眠不足」のせいと結論付けてしまいます。
しかし、どれだけ休んでも抜けない疲労感は細胞レベルで起こっている「特定の栄養素の不足」と、それに伴う「悪玉物質の蓄積」が原因かもしれません。
2026年、日本の大阪公立大学をはじめとする研究チームから、疲労とモチベーションについて興味深い研究成果が発表されました。
この研究では、健康な日本人成人602名を対象に、血液中のある成分と疲労・モチベーションの関係を徹底的に調査しています。
その結果、これまで見過ごされてきた栄養の盲点と、疲労を数値として可視化する驚くべき事実が明らかになりました。
Kanouchi, H., Yamamoto, A., Kuwabara, A., Takenaka, S., Nishikubo, E., Nomura, Y., Naruto, T., Watanabe, K., Mizuno, K., & Watanabe, Y. (2026). Associations of plasma homocysteine reflecting vitamin B12 and folate status with fatigue-related outcomes in healthy adults. Nutrients, 18(6), Article 941. https://doi.org/10.3390/nu18060941
今回はこちらの研究を参考に疲労感の正体とその対処方法について解説していきます!
「隠れた疲労の原因」
今回の研究の鍵を握る物質は「ホモシステイン(Hcy)」というアミノ酸です。
初めて耳にする方も多いかもしれませんが、このホモシステインは体内で代謝される際に作られる
「中間生成物(代謝時に発生するゴミのようなイメージ)」であり、本来はすぐに別の無害な物質へと処理されるべきものです。
しかし、体内の特定のビタミンが不足すると処理が滞り、血液中にどんどん蓄積してしまいます。
これまでの医学界では、ホモシステインの蓄積は血管を傷つけ、心血管疾患や認知症、骨折のリスクを高める悪玉物質として広く知られていました。
研究チームは、「この物質は、日々のパフォーマンスや脳の疲労、やる気にも悪影響を与えているのではないか?」という仮説を立て、地域に住む健康な成人602名を対象に分析を行いました。
被験者の血液データを分析した結果
性別に関わらず一貫して、血中ホモシステイン濃度が高いグループほど、血清中の「葉酸(ビタミンB9)」および「ビタミンB12」の濃度がかなり低いことが証明されました。
つまり、ホモシステインの数値を見れば、その人が細胞レベルでビタミンB群を十分に活用できているかどうかがはっきりと分かるのです。
研究で使用された評価指標客観的指標
血中ホモシステイン(Hcy)濃度、血清葉酸濃度、血清ビタミンB12濃度
主観的指標: チャルダー疲労尺度(Chalder Fatigue Scale:身体的・精神的疲労を数値化する国際的基準)
意欲の指標: Visual Analog Scale(VAS:現在のモチベーションを0〜100mmの直線上で視覚的に評価するスケール)
男女で異なる「悪玉物質」の影響
研究チームはさらに、年齢、睡眠時間、労働量、日頃の食習慣など、疲労に影響を与えそうなあらゆる外部要因を調整した上で、ホモシステインの濃度を男女別に3つのグループ(T1:低い、T2:中間、T3:高い)に分類し、疲労度やモチベーションとの関連性を弾き出しました。
男女間で明確な差があります!
① 男性のデータ:ホモシステイン上昇は「身体的疲労」に直結する
血中ホモシステイン濃度が最も高いグループ(T3)は、最も低いグループ(T1)と比較して、チャルダー疲労尺度における身体的疲労スコアが有意に高いことが判明しました。
これは、体に疲労が溜まっていると感じる原因が、単なる筋肉の酷使だけでなく、血液中のホモシステイン蓄積による「酸化ストレス」の増大や、エネルギー代謝の根幹である「一炭素代謝(ワンカーボンメタブリズム)」の停滞にあることを強く示唆しています。
② 女性のデータ:ホモシステイン上昇は「モチベーションの低下」を招く
一方で、女性において顕著に現れたのは、筋肉の疲労ではなく「脳とメンタルの疲労」
モチベーションの低下でした。
ホモシステイン濃度が最も高いグループ(T3)は、最も低いグループ(T1)に比べて、VASによるモチベーションスコアが大幅に低下していることが明らかになったのです。
ダイエット中の女性に多く見られる「なぜか急にダイエットのやる気がなくなる」「運動する気力が湧かない」といったメンタルの変動は、根性の問題ではなく、血液中のビタミンB12・葉酸不足によって脳内の神経伝達物質(ドーパミンやセロトニンなど)の合成がスムーズに行われなくなっているサインの可能性があるのです。
男女で違いがあるのがおもしろいところです!
男性アスリートにおける謎の疲労感に関して解決する糸口と言えそうです。
ホモシステインが溜まりやすいのか?
一般の健康な成人よりも、日常的にハードな運動を行うアスリートや、食事制限を行うダイエットこそ、この研究結果を受け止めなければなりません。
理由は主に2つあります!
理由1:激しい運動による「ビタミンB群」の激しい消費
アスリートは、一般的な成人に比べてエネルギー代謝の回転数が圧倒的に高いため、糖質や脂質、タンパク質をエネルギーに変える過程で、ビタミンB群(B1, B2, B6, B12, 葉酸など)を大量に消費します。
さらに、トレーニングによる筋肉の修復や赤血球のターンオーバーにもこれらのビタミンが使われるため、食事から十分な量を補給できていないと、あっという間に「潜在的ビタミン不足」に陥ります。
その結果
体内でのホモシステインの代謝がストップし、血中にゴミが溜まって身体的疲労を増幅させるという最悪なスパイラルに陥ります!
理由2:減量時の「食事制限」による摂取不足と不均衡
特にカロリー制限や特定の食品を極端に制限する(糖質制限で肉ばかり食べる、あるいは逆に極端なサラダ中心の生活にするなど)ダイエットを行っている人は、ビタミンの摂取バランスが崩れがちです。
ビタミンB12は主に動物性食品に、葉酸は植物性食品(緑黄色野菜)に多く含まれます。
どちらか一方に偏ったダイエットを行うと、細胞内でのホモシステイン処理回路が正常に回らなくなり、結果として女性に現れやすい「モチベーションの著しい低下」を引き起こし、ダイエットの挫折を招くことになります!
「ホモシステイン攻略」食事管理
血中のホモシステインを低レベルに抑え、常に高いパフォーマンスとモチベーションを維持するためには、具体的にどのような食生活を送れば良いのでしょうか? ターゲットとなるのは、研究でもはっきりと不足が指摘された「ビタミンB12」と「葉酸」の同時摂取です。
1.ビタミンB12を確保する(主に動物性食品)
ビタミンB12は植物性食品にはほとんど含まれないため、ダイエットにおいて特に注意が必要です。
1日の推奨量は成人で2.4µg(マイクログラム)ですが、アスリートはさらに多めの摂取を意識しましょう。
レバー類(牛・豚・鶏)
圧倒的な含有量を誇ります。
鶏レバーならわずか10g(焼き鳥1本分以下)で1日分をクリアできます。週に1回、レバーを食べる日を作るのが理想的です。味が苦手で食べられない、鮮度が低い場合あまりおいしくないなどデメリットがあります。
魚介類(アサリ、シジミ、サバ、イワシ)
アサリの酒蒸しやサバの塩焼きは、アスリートのタンパク質補給としても極めて優秀です。
サバ缶1缶(約150g)で1日推奨量の数倍のB12を補給可能です。青魚の脂質に注意しながら摂取しましょう!
卵・乳製品
毎朝の卵2個、またはギリシャヨーグルト1個を習慣化することで、ベースラインを底上げできます。
ギリシャヨーグルトは消化が遅いので食欲のないアスリートは導入に注意が必要です。
2.葉酸を確保する(主に緑黄色野菜・レバー)
葉酸は、ホモシステインを無害なアミノ酸に戻すために絶対不可欠なビタミンです。
1日の推奨量は成人で240µgです。
枝豆・ブロッコリー
ブロッコリーは、葉酸も豊富(100gあたり約120µg、1/2株で1日分の半分が摂れます)
枝豆は100gあたり260µg〜300µg含まれており、一掴みで1日分をカバーできる超優秀食材です。
ほうれん草・アスパラガス
お浸しや炒め物として毎食の小鉢に加えることで、無理なく葉酸を補給できます。
海苔(のり)
焼き海苔2枚(約6g)には約110µgの葉酸が含まれています。おにぎりに巻くだけでも効果的です。
3.同時摂取を意識する
ホモシステインの処理回路は、ビタミンB12と葉酸が「2つ揃って初めて」正常に機能します。
片方だけを過剰に摂っても意味がありません。
おすすめのメニュー例
朝食: 納豆+卵かけご飯(B12)に、焼き海苔(葉酸)をプラス。
昼食: 鶏胸肉のソテーに、ブロッコリーとアスパラガスの温野菜サラダ(葉酸)を添える。
夕食: サバの味噌煮(B12)と、ほうれん草のお浸し(葉酸)、またはアサリの味噌汁。
まとめ
今回の最先端研究が教えてくれた最も重要な事は、「疲労やモチベーション低下は、血液中の数値(ホモシステイン)で説明できる科学的な現象であり、それは食事でコントロール可能である」ということです。
特に減量中や、限界まで体を追い込むアスリートは、カロリーやタンパク質の量(PFCバランス)ばかりに目を奪われ、微量栄養素であるビタミンB12や葉酸の重要性を見落としがちです。
その結果、血液中にホモシステインという「疲労のゴミ」を溜め込み、自らパフォーマンスを下げてしまっては非常にもったいないです!
日々のメニューに、今回紹介した「ブロッコリー」「枝豆」「サバ缶」「卵」「レバー」などを意識的に取り入れ、ホモシステインを徹底的に対処し、科学に基づいた栄養戦略を取り入れましょう!
パフォーマンスと精神力を同時に手に入れ、目標まで効率よく達成しましょう!
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