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【落とし穴】練習の疲れが抜けない根本的な原因とは?


毎日ハードな練習をこなしているのに、試合になると実力が出せない。

いつも疲れた顔をしている。

子どもの持久力が落ちてきて、風邪もひきやすくなった。

ダイエットのために食事制限や運動を頑張っているのに、全く体重が落ちなくなった。


アスリートやその保護者、ダイエットに取り組む方において、このような悩みをよく耳にします。多くの場合、「練習や努力が足りないからだ」「気合いが足りない」と考えたり、さらに厳しい食事制限の実施を考慮するかと思います。


しかし、最新のスポーツ医学や消化器医学の研究は、全く異なる原因を指摘しています!



2023年に発表された過去の信頼できる研究を統合し、最もレベルの高い結論を導き出す研究手法をもとに、アスリートやダイエットの身体を内側から蝕む「腸のバリア崩壊」の正体と、それを劇的に修復する「プロバイオティクス(善玉菌)」の効果について、具体的な統計データとともに徹底解説していきます!


今回はこちらを参考に解説していきます!

 Zheng, Y., Zhang, Z., Tang, P., Wu, Y., Zhang, A., Li, D., Wang, C.-Z., Wan, J.-Y., Yao, H., & Yuan, C.-S. (2023). Probiotics fortify intestinal barrier function: a systematic review and meta-analysis of randomized trials. Frontiers in Immunology, 14, 1143548. https://doi.org/10.3389/fimmu.2023.1143548




「激しい運動」と「ストレス」が腸の壁を攻撃


腸は食べたものから栄養や水分を吸収するだけの器官ではありません。


腸の粘膜には、有害な細菌やウイルス、未消化の食べ物、毒素などが体内に侵入するのを防ぐための「強固な物理的バリア」が存在します。腸の細胞同士は「タイトジャンクション」と呼ばれる強力な接着剤で隙間なくピタッと結合しており、必要な栄養だけを通し、有害なものは便として排出する賢いフィルターの役割を果たしています。


しかし


この精巧なバリアは、特定の条件下で崩れ去ってしまいます。

その最大の要因が「激しいトレーニング」と「精神的ストレス」、そして「極端な食事制限」です。


筋肉に極限まで負荷をかけるような激しい運動をすると、全身の血液が筋肉に集中し、腸への血流が極端に減少します。酸素や栄養が不足した腸の粘膜はダメージを受け、細胞の隙間を繋いでいたタイトジャンクションが緩んでしまいます。 このように腸の壁に隙間ができ、本来ならブロックされるべき毒素や細菌が血液中に漏れ出してしまう状態を「リーキーガット」と呼びます!



血液中に毒素が漏れ出すと、私たちの体は「敵が侵入してきた!」と判断し、全身で「炎症」を起こします。この慢性的な炎症こそが、アスリートの疲労を長引かせ、筋肉の回復を邪魔し代謝を著しく低下させる最大の元凶です!



プロバイオティクスが「腸の壁」を強固に修復


スカスカになってしまった腸の壁を修復するにはどうすれば良いのでしょうか?


その最切り札となるのが「プロバイオティクス」です。


プロバイオティクスとは、乳酸菌やビフィズス菌のように、十分な量を摂取することで私たちの身体に健康上の利益をもたらす「生きた微生物(いわゆる善玉菌)」のことです!



2023年に発表されたこの研究では、合計1891人の参加者を対象に行われた26件の科学的根拠レベルが非常に高い試験データを統合して分析しました。

参加者の中には、肝疾患や胃腸疾患の患者だけでなく、日々ハードな練習を行う持久系アスリートや大学野球選手などの健康なスポーツ選手も含まれています。


分析の結果


プロバイオティクスを継続的に摂取したグループは、プラセボ薬を飲んだグループと比較して、腸管バリア機能が驚くほど改善していることが統計的に証明されました。

以下に、その効果を示す3つの具体的な数値データをご紹介します!


① 腸の「密閉度(TER)」が有意にアップ!

腸の壁がどれくらいしっかり閉じているか(密閉度)を測る指標に「TER(経上皮電気抵抗)」というものがあります。壁の隙間がなく、しっかり閉じているほど電気抵抗は高くなります。 

メタ分析の結果、プロバイオティクスを摂取したグループは、摂取していないグループに比べてTERの値が有意に高く(平均差 [MD] 5.27、P値 < 0.00001)、腸の壁が物理的に分厚く強固になっていることが確認されました!



② 腸を開かせる鍵「ゾヌリン」を大幅に減少

私たちの体には「ゾヌリン」というタンパク質があります。

要するに腸の細胞間の「門」を勝手に開けてしまうリモコンのようなものです。


血液中のゾヌリン濃度が高いと、門が開きっぱなしになり、腸から毒素が漏れ出している(リーキーガット)ことを意味します。 


分析の結果


プロバイオティクス群では血清ゾヌリンレベルが劇的に減少している(標準化平均差 [SMD] -1.58、P値 = 0.0007)ことが明らかになりました。

プロバイオティクスが門を開けるリモコンを没収し、腸の壁をピタッと閉じてくれたのです。



③ 体内への「毒素(エンドトキシン・LPS)」の侵入をブロック

腸のバリアが強化された結果、体内に侵入する毒素の量も目に見えて減りました。悪玉菌が作り出す代表的な毒素である「エンドトキシン」と「LPS(リポ多糖)」の血中濃度を調べたところ、プロバイオティクス群ではエンドトキシンが大幅に減少(SMD -3.20、P値 = 0.005)し、LPSも有意に減少(SMD -0.47、P値 = 0.02)していました。 


要するにバリアが機能を取り戻し、体への有害物質の流入を防止したとういうことです!



全身の慢性炎症を抑え、コンディションをUP

プロバイオティクスによって腸のバリアが修復され、毒素の侵入が防がれた結果、身体にはどのような変化が起きるのでしょうか? 


最大の恩恵は、アスリートのパフォーマンスやダイエットの代謝を奪っていた「全身の炎症」が抑えられるということです!


研究では、体内の炎症レベルを示す代表的なマーカーである

「CRP(C反応性タンパク)」「TNF-α」「IL-6」という物質の血中濃度が測定されました。


これらは、身体にダメージがあった際に免疫システムが分泌する物質で、高い状態が続くと筋肉の合成が阻害され、強烈な疲労感や代謝の低下を引き起こします。


メタ分析の結果、プロバイオティクスを摂取したグループでは、これらの炎症マーカーがプラセボ群に比べて軒並み低下していることが分かりました。


  • CRP(全身の炎症の指標):有意に減少(SMD -1.76、P値 = 0.03)

  • TNF-α(強力な炎症性サイトカイン):有意に減少(SMD -0.68、P値 = 0.02)

  • IL-6(疲労と筋肉分解に関わるサイトカイン):有意に減少(SMD -0.80、P値 = 0.03)



これらの炎症因子は、腸のバリアを直接攻撃してさらに破壊してしまうという悪循環を引き起こします。


プロバイオティクスは、この悪循環を根本から断ち切り、体内の火事を防いでくれます。 

アスリートにとっては、練習後の筋肉の修復スピードが跳ね上がり、翌日に疲労を持ち越さなくなることを意味します!


ダイエットにとっては、炎症による細胞の機能低下(インスリン抵抗性など)が改善し、食べたものをしっかりエネルギーとして燃やせる「痩せやすい体質」へと変化していく第一歩となります!



腸内の菌構成そのものを最強の布陣に

プロバイオティクスがもたらす効果は、一時的なバリアの修復だけではありません。摂取を続けることで、お腹の中に住み着いている「腸内細菌のメンバー構成(いわゆる腸内フローラ)」そのものを、太りにくく疲れにくい布陣へと変化させてくれます!


研究において、プロバイオティクスを摂取した人たちの便を調べたところ、腸内環境を整える代表格である「ビフィズス菌」が大幅に増加(SMD 1.85、P値 = 0.01)し、さらに「乳酸菌」も顕著に増加(SMD 2.22、P値 = 0.02)していることが確認されました。


これらの特定の嫌気性細菌(酸素を嫌う細菌)は、腸の細胞にくっついて「ペリクルバリア」という強力な保護膜を形成します。この保護膜があるおかげで、身体に悪さをする病原菌や悪玉菌が腸に定着して増殖することができなくなります。



効果を最大化するためのプロバイオティクス活用

「すぐにでもプロバイオティクスを試してみたい」と思った方も多いはずです。


ヨーグルトを食べたりサプリメントを飲んだりすれば良いというわけではありません。 


最も効率的で確実な「プロバイオティクスの活用」を3つのポイントにまとめました!


ポイント①:「ビフィズス菌」と「乳酸菌」が混ざったものを選ぶ

「ビフィズス菌」と「乳酸菌」の両方を含む複数の菌株を配合したプロバイオティクスが使用されています。 単一の菌だけでなく、さまざまな特徴を持つ複数の善玉菌を同時に摂取することで、より強力に腸のバリアを補強し、悪玉菌の繁殖を抑える効果が期待できます。


サプリメント等を選ぶ際は、成分表を見て「ビフィズス菌」と「乳酸菌」が両方入っているかを確認してみてください!


ポイント②:まずは「1ヶ月〜3ヶ月未満」を目標に毎日続ける

プロバイオティクスは薬ではないため、飲んで数時間で劇的な変化が起きるものではありません。しかし、継続することで身体は変わります。


  • 腸の扉を開ける「血清ゾヌリン」の減少は、「4週間未満」という短期間の摂取でも効果あり(SMD -2.34、P値 < 0.00001)

  • 全身の炎症マーカーである「CRP」や「IL-6」を激減させる効果は、ダラダラと半年以上続けるよりも、「3ヶ月未満」の集中した摂取期間の方が、より強力な減少効果(CRPでSMD -2.99、IL-6でSMD -1.19)を発揮


このデータから言えることは

「まずは1ヶ月から3ヶ月を目標に、毎日欠かさずしっかり摂取する」


という短期集中のアプローチが、腸内環境をリセットし、体質改善のスイッチを入れるために非常に有効であるということです!


ポイント③:菌のエサとなる「食物繊維」を一緒に摂る

せっかく生きた善玉菌を腸に送り込んでも、彼らの「エサ」がなければすぐに死滅してしまいます。善玉菌の好物は、野菜や海藻、オーツ麦などに含まれる「水溶性食物繊維」や「オリゴ糖」です。 


プロバイオティクスをサプリなどで摂取する際は、毎日の食事で野菜や果物、豆類をしっかり食べることを意識してください!

菌とそのエサを同時に摂ることで、バリア修復のスピードはさらに加速します!


まとめ

アスリートの拭いきれない疲労感や、原因不明のコンディション不良の背景には、激しい運動やストレスによって引き起こされた「腸管バリアの崩壊」と「全身の慢性炎症」が隠れていました。

最新の科学が証明した通り、プロバイオティクスを日々の生活に取り入れることで、壊れた腸の壁は再び修復され、毒素の侵入を防ぎ、炎症を強力に抑えることができます!



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