怪我の回復を早める「スポーツ栄養学」
- トレーナー山下

- 1 日前
- 読了時間: 5分

スポーツに全力で打ち込んでいれば、筋骨格系の損傷のリスクは避けられません。世界では毎年平均300万から500万件ものスポーツ障害が発生していると推定されています。
怪我をしてしまい、ギプスで固定したり運動量を落としたりしてリハビリをしている期間、食事をどのように工夫していますか?
「動かないから太りたくない」
いつもより食事の量やカロリーを減らしてはいないでしょうか。
最新のスポーツ医学研究によると、カロリー制限こそが、回復を遅らせる最大の原因であることが分かっています。今回は、リハビリ中の体を支える栄養戦略について統計数値とともに分かりやすく解説します!
Giraldo-Vallejo, J. E., Cardona-Guzmán, M. Á., Rodríguez-Alcivar, E. J., Kočí, J., Petro, J. L., Kreider, R. B., Cannataro, R., & Bonilla, D. A. (2023). Nutritional Strategies in the Rehabilitation of Musculoskeletal Injuries in Athletes: A Systematic Integrative Review. Nutrients, 15, 819. https://doi.org/10.3390/nu15040819
1. 体は「修復」のために大量のカロリーを燃やしている
怪我をして安静にしている期間であっても、体内では壊れた組織を治すための大規模な修復工事が行われています。
怪我を治すために筋肉のタンパク質を合成する作業は非常にエネルギーを消費する行程であります。
筋肉質な方の場合、それだけで1日に約485kcalものエネルギーを消費することがあります。
怪我の初期段階では、この修復作業のために通常よりも約20%もエネルギー消費量が増加するケースもあるとされております。
この時に「太るから」と食事を減らしてエネルギー不足に陥ってしまうと、どうなってしまうのか?
摂取エネルギーが20%不足するだけで、筋肉を作る働き(筋タンパク質合成)が約19%も低下してしまうと報告されています。
治るはずの怪我も、エネルギーが足りなければ修復スピードが落ちてしまいます!
怪我からの回復はストレッチしたり筋トレしたりする必要がありますが、栄養面も考慮しなければなりません!
最低ライン(絶対に避けるべき水準): 「除脂肪体重1kgあたり30kcal未満/日」にならないようにすることが、多くの研究で強く推奨されています。
理想的な目安: アスリートが健康な体の機能を維持するためには「除脂肪体重1kgあたり約45kcal/日」に保つことが理想とされています。
体重あたりの目安: 別のガイドラインでは、適切なエネルギー摂取量として「体重1kgあたり25〜30kcal/日」という目安も示されています。
正確な体組成計がある場合は除脂肪体重によるカロリー計算がおすすめです!
余分なカロリーを摂らずに済むため、対数管理が非常にやりやすいです!
2. 固定中の筋肉は「1日0.5〜0.6%」ずつ消えていく
怪我で腕や足を固定していると、筋肉減少が急速に進みます。
研究では、固定期間中は1日あたり約0.5〜0.6%の筋肉が失われていくと見積もられています。
これを食い止める盾となるのが「タンパク質」です。 カロリーを40%制限した状態で行われた2週間の実験では、タンパク質の力がいかに絶大か証明されています。
タンパク質が少なめ(体重1kgあたり1g/日)のグループ:2週間で1.6kgの筋肉を失った。
タンパク質が多め(体重1kgあたり2.3g/日)のグループ:2週間でわずか0.3kgの減少にとどまった。
怪我をしている期間は、通常よりも「タンパク質を筋肉に変えるスイッチ」が鈍くなっている(アナボリック抵抗性といいます)ため、より多くのタンパク質が必要になります。
リハビリ中の推奨量は、体重1kgあたり「1.6g〜最大3.0g」です。
これを1日1〜2回のまとめ食いではなく、1回の食事で20〜30gずつ、1日4〜6回に均等に分けてこまめに摂ることが筋肉の維持に最も効果的です!
怪我中こそ栄養バランスに注意することが必要です!
3. 回復を後押しする2つの強力なサプリメント
基本の食事とタンパク質を確保した上で、リハビリを加速させるために効果が期待できるサプリメントも紹介されています。
コラーゲン/ゼラチン 腱や関節を痛めている場合、運動(リハビリ)の1時間前に15gのコラーゲン(またはゼラチン)をビタミンCと一緒に摂取することで、関節の痛みや機能を改善する強力なエビデンス(科学的根拠)があるとされています。
クレアチン 筋肉を動かせない期間にクレアチンを摂取することで、筋肉の減少を抑え、筋肉のエネルギー源(クレアチン貯蔵量)を維持・増加させる効果が期待できます。
まとめ
怪我で練習を休むことは、精神的にも辛い時期です。しかし、「治るのをただ待つ」のではなく、「食事で回復を加速させる」ことは、今すぐ自分でできる重要な取り組みです!
「エネルギーをしっかり確保し、1回20〜30gのタンパク質を1日4回以上こまめに摂る」
このルールを守って、怪我をする前よりも強い身体で復帰を目指しましょう!
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